通信制高校は、多様なライフスタイルや学び方を支える柔軟な教育システムとして、近年注目を集めています。ただ、以前全日制高校の方が有名であり、通信制高校について詳しくない方も多いと思います。そこで本記事では、通信制高校に関するよくある質問とその回答を分かりやすくまとめました。
これを読むことで、通信制高校への理解が深まり、進学や転校の一歩を踏み出す助けになれば幸いです。
通信制高校高校について
通信制高校はどれくらいあるのですか?
日本全国には5080校の高等学校があります(令和5年度)。そのうち通信制高校は2023年5月時点で289校(分校を含む)あり、公立が78校、私立が211校を占めています。2023年度には前年度から15校増加し、通信制高校の数は過去最多を記録しました。
全日制や定時制高校と比べると通信制高校の数は少ないように感じるかもしれません。しかし、通信制高校には「広域通信制高校(広域校)」と呼ばれる特長的な学校があります。広域校とは、3つ以上の都道府県にわたって広い範囲から生徒を募集する通信制高校のことで、「関東全域」「近畿全域」さらには「全国」から入学できる仕組みになっています。こうした広域校は年々増加しており、全国各地に生徒が学べるサテライト施設(通学拠点)を設けているのが特徴です。これらのサテライト施設を含めた場合、通信制高校は全日制・定時制高校の約6割に匹敵する規模となり、学びの場として確固たる存在感を示しています。
通信制高校にはどれくらいの生徒がいますか?
全通信制高校の生徒数は全体で約26万5千人が在籍しています。そのうち公立校が約5万7千人(22%)、私立校が約20万7千人(78%)と、私立校に在籍する生徒のほうが多くなっています。生徒の男女比率は、ほぼ半々です。
通信制高校には入学試験がありますか?
あります。通信制高校の入学試験は、主に面接と作文が中心です。これは生徒の状況や個性を理解するためのものであり、「偏差値で合否を決める試験」ではありません。一部の学校では学力試験を実施している場合もありますが、これは主にクラス分けの参考にするためのものです。そのため、通信制高校は「自分が学びたいと思った学校に進学できる」という特徴を持っています。
通信制高校の新入学の受付はいつまでですか?
通信制高校では、基本的に年度末の3月まで、学校によっては4月末までに入学すれば新入生として認められる場合があります。そのため、全日制高校の受験結果を確認してから進学先を決めることも可能です。
不登校を経験したお子さんの場合、通信制高校への進学に迷ったり、決断が遅れたりすることも少なくありません。しかし、通信制高校では比較的柔軟に入学時期を設定できるため、お子さんが気持ちを整理し、自分で進学を決められるタイミングを待つことができます。実際に、冬休み明けや卒業式の翌日に入学を決めるケースもよく見られます。
ただし、学校によっては定員に達するなどの理由で夏から秋ごろに募集を締め切る場合もあります。そのため、興味のある学校には早めに相談することをおすすめします。
通信制高校は自宅で勉強ができますか?
レポート作成は自宅で行うことが可能です。動画教材やオンライン授業の有無は学校によって異なります。
オンラインカリキュラムが充実している学校では、自宅学習をより効率的に進めることができます。例えば、動画や音声を活用した授業を視聴しながら自宅で勉強を進めたり、レポートも動画を見ながら作成し、そのままオンライン提出することも可能です。このようなオンライン教材が豊富な学校では、必要最低限のスクーリング以外はすべてオンラインで完結する生徒もいます。また、通学コースと併用し、オンラインコースを補助的に活用する生徒もいます。特に通学が難しい場合、オンライン教材は大きな助けとなるでしょう。
気になる学校が提供しているオンライン教材や授業内容について、事前に確認してみることをおすすめします。
通信制高校で友達ができるか心配です。
通信制高校では、学習拠点で行われるイベントやオンライン交流の機会を設けている学校もあります。
毎日通学するわけではない通信制高校だからこそ、通学コースに限定されない多様な交流方法が特徴です。WEB学習を中心にしている生徒も、文化祭などの学校行事に参加することで友人を作る機会があります。また、最近ではZoomを使ったオンライン交流や、oViceといったバーチャル空間を活用したコミュニケーションを取り入れる学校も増えています。これにより、通学の有無に関係なく、生徒同士がつながる環境が整っています。
通信制高校に転編入で入れますか?
入学できます。
2期制を採用している通信制高校では、通常、4月と10月に入学時期があり、それぞれの学期が終了する3月と9月に卒業の機会が設けられています。通信制高校では、単位認定も半期ごとに行われるのが一般的です。
通信制高校では科目ごとに必要なレポートの提出数やスクーリングの回数が定められていますが、その実施期間は学校ごとに異なります。一方、全日制高校では、単位修得のために1年間(35週間)同じ科目の授業を受ける必要がありますが、通信制高校では、レポート作成やスクーリングに集中して取り組むことで、短期間で単位を修得することも可能です。
この柔軟性を活かし、私立の通信制高校の中には4~5学期制を採用し、単位修得の機会を増やしている学校もあります。これにより、生徒は自分のペースで効率よく学びを進めることができます。
技能連携校・高等専修学校について
技能連携校では高校卒業資格は取れますか?
取得できます。
技能連携校では、専門科目や教養科目の一部を、高校卒業資格に必要な単位として振り替えることが可能です。そのため、興味のある分野や好きなことを学びながら、学業の負担を軽減して効率的に勉強を進めることができます。
高等専修学校は高校とは違いますか?
違います。
高等専修学校は、授業の6~7割が専門科目で構成されている学校であり、学校教育法上では高校とは異なる位置づけとなっています。高校とは違いますが、法律に基づいた正規の教育機関であり、卒業時には「高等専修学校」の卒業資格が取得できます。
さらに、3年制の高等専修学校の多くは「大学入試資格付与指定校」となっており、卒業後に大学や専門学校へ進学することも可能です。また、一部の高等専修学校では、通信制高校と連携した技能連携制度を導入しており、この制度を利用することで、高等専修学校の卒業資格に加えて通信制高校の高校卒業資格を取得することもできます。
サポート校について
サポート校では高校卒業資格は取れますか?
取得できます。
いずれのサポート校も通信制高校と提携しています。サポート校のなかで提携している通信制高校のレポート添削などもあるので、卒業までのサポートがあるのも安心です。
通信制高校とサポート校、どちらを選べばいいですか?
通信制高校とサポート校では、高校卒業に必要な勉強内容に違いはありません。共通しているのは、どちらも自分に合った学習環境を選べる点です。
また、発達障がいのあるお子様の場合、民間の放課後等デイサービスと連携している学校を選ぶことで、学費を抑えられる場合があります。こうした仕組みも、学校選びの際に役立つポイントとなるでしょう。
そのため、学校を選ぶ際には、「通信制高校」や「サポート校」という分類ではなく、その学校の雰囲気や課外授業の内容が自分の希望に合っているかどうかを基準に判断することが重要です。
高卒認定試験について
通信制高校の(一部)科目履修とはなんですか?
高認試験と併用して高認試験の科目合格に結びつけたい人などに向いている制度とも言えます。高認コースを提供している通信制高校の中には、高認合格を目指す人のために、短期間で必要な科目を履修し単位を取得できるプログラムがある学校もあります。ただし、就学支援金については、科目履修生は対象外となるため、その点に注意が必要です。
高認の合格科目が高校の単位になりますか?
学校によっては、高認試験の科目合格を卒業単位として認めている場合がありますが、通常、認められる単位数には上限があります。高認試験を併用することで、3年間での卒業がスムーズになることもあります。通信制高校や定時制高校(単位制)のほとんどの学校では、高認の科目合格を単位として認定しています。また、高認試験は全日制高校に在学中の生徒も受験でき、全日制高校でも卒業単位として認められることがありますが、その判断は校長に委ねられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、通信制高校・技能連携校・高等専修学校・サポート校・高卒認定試験についてのQ&Aをまとめてきました。
皆様の通信制高校への理解が少しでも深まり、進学や転校へと踏み出す助けになれば幸いです。